1年経ってようやく見つけた小さな変化(訪問介護時の対応編)
先日行った自宅訪問でのできごと。
この日尋ねたのはとあるおばあちゃん自宅。
家族さんに最近の様子を確認&バイタル測定
(タイは血圧測定のみの場合が多い)
医療的な処置がある場合は処置を実施します。
(経鼻チューブの交換や導尿カテーテルの交換、褥瘡の処置等)
その後、座位が可能な方は負担のない範囲で離床を促したり、
日常生活のアドバイスをして一緒に介助します。
(↑これが私の普段の活動。下手なタイ語なのにいつも理解してくれる看護師さんは凄い)
ただタイでは、なかなか高齢者を離床する所まで繋がっていかないのです。
なぜかって?
それは、
家族⇒離床ってどうすればいいのかわからない、何かあったら怖い
看護師⇒リハビリ職(理学療法士や作業療法士)が専門なのでは?
という考え方が大きい気がしています。
今まで、
私:このおばあちゃん、座れそう!
看護師:いや座れないよ
私:どうして?
看護師:何年も寝たきりだから…
私:じゃあ、やってみませんか?
看護師:でも今日は理学療法士がいないでしょ?
もしくは
看護師:うーん、無理かな…
私:・・・・
という会話を何回も繰り返してきました。
もちろんこの日も血圧測定時にいつもお決まりのこの一連の会話が…
離床介助は日常の積み重ねが大切で、
リハビリ職だけが行うものではないんです。
むしろ普段の援助に当たっている家族や看護師、
オーソーモー(タイの保健ボランティア)が積極的に実施していかないと、
寝たきりの高齢者は増える続ける一方なのです…
ただ、この日は、
おばあちゃんに少しゴロ音(痰が喉に絡んだような音)があり、
家族さんに「体を起こすと少しは治まるはず」と伝え、
体位を整えてベッドをギャッジアップして様子を観察。
すると、ゴロ音が治まり酸素飽和度も上昇。
その後、看護師さん自ら「少し座らせてみる?」と!!
(その言葉、ずっとずっと待ってました!!)
この一言で寝たきりのおばあちゃんを座らせることに。
(気分不良もなく、しっかりと目を開けて久しぶりにお孫さんの顔を見ることが出来ました。)
お孫さんから「おばあちゃん、こんにちは」と挨拶をされて、
「うーうー」と唸り声のような反応が!
家族さんも驚いて「久しぶりに座っている所をみた…」と何枚も記念写真を撮っていました。
今までの活動では、タイ語が下手すぎて言いたいことが細かく伝わずもやもやして、
さらに看護師さんからの「ずっと寝たきりだから」とか「(起こすのは)無理だよ」の返事があるたびに、
何度も心が折れて、時には提案することも諦めて、
”タイのやり方はこうなのかも?”
”自分が一人で離床介助をすればいいのでは?”
”もういっそ何もしない方がいいのか?”
と自分に言い聞かせてきたけど、
少しは自分がここに来た意味があったのかも・・・
と思える出来事でした。
周りから見ると、
”なんだ、そんなことかよ”
といわれそうだけど、
自分にとっては大きな大きな変化。
こんな風に変化していってくれる人を少しずつでも増やしていきたいなあ。
今のこの気持ちを大事にこれからもおじいちゃん、おばあちゃんの日常生活を支えるヘルプマンの輪が広がっていくよう頑張ります!